歯は3構造
歯は3構造でできています。まず一番内側にあるのが歯髄(しずい)です。ここには神経と血管が集まっており、刺激が生じた時には中枢まで刺激を伝える役割があります。中間層は象牙質と呼ばれ、内側には組織液で満たされた象牙細管が内側から外側に向かって走っています。この象牙細管の働きによって、象牙質に刺激があると神経まで痛みが到達します。そして一番外側にあり、他の組織を守っているのがエナメル質です。この部分があるからこそ、通常は内側まで刺激が届かず、痛みが生じないのです。なおこの部分は透明なので、象牙質が透けて見えます。つまり白っぽく見えるのは象牙質の色なのです。
エナメル質の特徴
エナメル質の最大の特徴、それは硬度です。モノの硬さを示す「モース硬度」は7で、水晶と同じ位硬いとされています。この硬さは人体にある組織の中で最も硬いとされています。このようにとても硬い組織なのですが、苦手とするものもあります。それが酸です。この部分はハイドロキシアパタイトと呼ばれるリン酸カルシウムでほとんど占められています。細菌等が発する酸がこの部分に触れると、内部からカルシウムが溶け出し、組織が崩れていきます。組織が崩れると光の透過や屈折が鈍り、象牙質の白さも濁って見えるようになります。さらにダメージを受け続けるとやがて穴があき、虫歯につながります。
再石灰化が重要
エナメル質は人体で最も硬い組織ですが、酸にとても弱いです。さらに一番外側の部分にあるため日頃からダメージを受けやすく、小さな傷もよくできます。それでも組織が保たれているのは、再石灰化が行われているおかげです。再石灰化とは傷ついた部分に唾液がカルシウムイオン・リン酸イオンを補い、補修を促すことです。再石灰化が行われることで、エナメル質は傷を自然に治すことができるのです。ただし再石灰化を促すためには、環境を整えることが重要です。ブラッシングなどで歯垢をしっかり落とします。修復するためにはある程度時間が必要なので、十分修復する時間を確保することも重要です。間食が多いとそれだけ修復にも時間がかかるので、食事の時間はある程度空けるようにしましょう。
予防定期検診
虫歯や歯周病を防ぐには予防しかありません。定期検診(3~6カ月)に行かれての予防が大切です。