メタルフリー治療とは？

メタルフリー治療とは何か？

歯科の世界では、メタルフリー治療が注目されています。虫歯などの治療で行う「詰め物」や、銀歯などでよく知られる「歯の一部」の材料に使用する際の、金属を使わない治療です。一般的な保険治療ではアマルガム水銀や金銀パラジウムという金属を使用しますが、これらを一切使用しないで行う治療がメタルフリー治療です。特にアマルガム水銀は形を整えやすいので使用されることが多かったのですが、この金属は簡単に口腔内で溶け、イオン化してしまいます。溶けてイオン化した水銀は体内に取り込まれてしまうので、「大変有害で、金属アレルギーの原因になっている」という指摘があり、現在、人体に悪影響が少ない、金属を使わない治療が注目されているのです。

治療に金属を使うリスクとは

口腔内に金属があるということは、金属アレルギーになりやすいリスクを抱えることになります。なぜなら口腔内は常に唾液などがありますから、イオン化しやすい水銀などの金属は、金属イオンになってタンパク質と結合するのです。そこで人体がこれを異常物とみなし、金属アレルギーとなってしまう懸念があります。虫歯の治療で金属の詰め物や銀歯にしていた場合、口腔内から金属イオンの溶出が進み、体内に蓄積されてしまうのです。口腔内で発生する症状としては歯茎の黒い着色、味覚・知覚異常、口内炎などが見られるようになり、全身症状としては全身の蕁麻疹やかゆみ、皮膚炎などを発症してしまう可能性があります。

メタルフリー治療に使われる材料

金属を使用しないメタルフリー治療にはいくつか種類があり、代表的なものを挙げると、まずセラミックを使ったものです。色合いがキレイで見た目が自然であることが特長で、歯茎との親和性が高いことも利点です。レジンを使うと保険適用なので安価で済むというメリットもありますが、一方で、年数が経つと隙間ができやすく外れやすいというデメリットもあります。そして見た目は良いけれど、強度に不安があるセラミックの弱点を解消したものもあり、それがジルコニアです。ジルコニアは金属よりも軽量で、高い強度を持っています。そのため金属アレルギーの心配もなく、強度と見た目の美しさを期待できます。他にもレジンの弱点をカバーするセラミックを含有させた混合物を使ったものもあり、材料の選択は歯科医とよく相談して決めることになります。