ピロリ菌とは
ピロリ菌はオーストラリアのウォーレン博士とマーシャル博士によって、2005年に発見された細菌です。正式名称はヘリコバクター・ピロリ菌です。この発見は、胃内には細菌は存在しないという従来の考えを覆すものであり、2人の博士はノーベル医学生理学賞を受賞しています。
この細菌は胃の粘液層を住処とし、「ウレアーゼ」という酵素の作用で胃酸の影響を受けずに生息することができます。日本では約6000万人が感染していると考えられていますが、成人の場合は症状に乏しいことが多く、自覚しないこともしばしばあります。
しかし、一度感染すると胃内の炎症を引き起こし、胃潰瘍や胃がんなどの重大な病気につながる可能性がある細菌です。症状に心当たりがある人は専門機関を受診しましょう。
症状と検査
感染後の症状としては、空腹時の痛み・胃もたれ・食後の腹痛・食欲不振・胸やけ・吐き気などがあります。これらの症状は他の要因でも生じえるため、一度自覚しただけでは感染したとは確信できないと思います。しかし症状が長期にわたり続いている場合や、胃薬など市販の薬を飲んでも改善を見込めない場合は受診して検査を受けましょう。
検査では内視鏡を使用しないもので「尿素呼気試験法」「抗体測定」「糞便中抗原測定」があります。内視鏡を使用するものでは「培養法」「迅速ウレアーゼ試験」「組織鏡検法」を行います。これらの検査法は医療機関や患者本人の状態などから、最適な方法を選択します。
治療、感染経路と予防
ピロリ菌の除菌治療には、胃酸の分泌を抑制する「プロトンポンプ阻害薬」と「アモキシシリン」「クラリスロマイシン」の2種の抗生剤を1週間服用します。この服用法で約8割は除菌できるとされますが、除菌薬服用後の判定検査にて、残りの2割に該当する場合は、二次除菌により治療を継続します。また症状改善後も、定期的な検査にて菌の存在を確認することが大事です。
ピロリ菌の感染経路は主に経口感染と言われています。ただし接吻行為やコップ・食べ物などの口移し程度での感染は少ないとされています。問題視されるのは衛生状態とされ、洗浄が不十分な食器での食事、歯ブラシを長期にわたり使い続けるなどにより、経口感染のリスクが高まると考えられます。
一度、身の回りの衛生状態の見直しと自覚症状を確認し、感染のリスクを回避しましょう。
予防定期検診
虫歯や歯周病を防ぐには予防しかありません。定期検診(3~6カ月)に行かれての予防が大切です。